園長のひとりごと
平和を願い
2022-06-01
日本から西へ約8200㎞、そこでは今、戦争が起きています。連日のニュースからその悲惨な状況が見て取れます。現在、世界では幼児教育から初等、中等、高等と学びを進めていくなかで、戦争というものがどれほど悲惨で虚しいものかを知る機会が度々あります。特にこの広島という地は、人類初の原子爆弾投下による壊滅という経験をしており、非戦への思い、そして活動の強い地域でもあります。先日は大国がこの戦争において核兵器使用を匂わせるような発言報道もあり、世界を震撼させていましたが、戦争状態とは結局このようなものです。武器を手に取った瞬間から、ただ敵味方の判断のみで言葉なく殺し合う。互いが相手のことは何も知らず、ただ命を奪い合う。互いに家族が居る、子どもが待っている、しかし目の前の人間を殺さなければ殺される、それが戦争であり戦場という場所です。直径12,756㎞、周囲40,000㎞、この球体表面でいつまでこのような争いが続くのでしょうか。先日、日本のとある資産家の方が宇宙で12日間を過ごし話題となっていましたが、時速28,000㎞、地球を周回するのに約90分という環境から見た世界はどうだったのでしょうか。眼下にある小さな星で争いが繰り返され、日々多くの命が失われていくことへの虚しさを少なからず感じられたのではないでしょうか。この戦争、日本に住んでいる私たちには未だ大きな影響は出ていません。遠く西の国の出来事です。しかし、宇宙船では約17分の距離です。これから科学の進歩と共に世界は益々狭く、国々も近くなります。そして多様化していきます。今の子どもたちが大人と呼ばれる頃、人々は地球規模で物事を考え(グローバル化)、活動し、生活していることでしょう。またそうならなければ近い将来、地球、人類は滅亡の危機まで有り得るのではないでしょうか。輝かしい進歩を共に喜び、ひとたび大きな苦難が来れば共に挑戦し乗り越える。身も心も豊かな新世界の誕生、それらの土台となるものこそが非戦であり、平和であり、人種、国境を越えての交流なのです。戦争をしている場合ではありません。「喧嘩しないで仲良くしてね!!」世界中の家庭で、親が子に願い伝える代表的フレーズですが、実際これが子育てのスタートでありゴールなのです。良き子育てとは、平和への関心を、幼き心に芽生えさせることを目的としていることを我々大人は決して忘れてはいけないのです。
涙涙
2022-05-02
保育園の新年度は大きな泣き声でスタートします。入園当初は慣らし保育がありますので、お昼には大好きなお父さんかお母さんが心配な表情でお迎えに来てくれますが、それまでの数時間は不安でなりません。「ここはどこ!あなたはだれ?わたしはなぜ、おいていかれたの?」生まれて初めて感じる不安の極み、人生最大のピンチです。これは泣かずにはいられません。これまで養われてきた力を最大限発揮して、「うわぁ〜ん、うわぁ〜ん」大きな元気な泣き声です。新入園児さんにとっては辛く、悲しい慣らし保育ですが、この期間は単に「一日も早く施設に慣れて泣かずに過ごしてね」というものではありません。慣らし保育で重要なこと、それは「信頼」です。子どもたちが保育園の環境に慣れるとは、そこにいる人を信頼できるようになるということです。「ここにいる人たちは私を受け入れ、お父さんお母さんと同じように関わってくれる」この思いが子どもたちのなかに生まれた時、大きな泣き声は収まります。朝の涙が消えた後は、夕方、胸に飛び込んでくる小さな身体、その笑顔をしっかり抱きしめてあげてください。そして我が子がお父さんお母さんではない人へ信頼を寄せ、又社会の一員としての生活をスタートできたことをしっかりと認め、その誇らしさを子どもに感じさせてあげてください。それが子どもたちにとって人生最初の自信となり、これから養われていく自己肯定感の土台となるのです。
また明日も(祝卒園)
2022-03-28
「バイバ~イ」子どもたちの声が玄関に響きます。いつも耳にする日常的な別れの挨拶ですが、先日は「今日は帰るけど、また元気で会おう。そして・・・♪」とお互いが意思統一を図っているように聞こえました。保育園では色々なことが起こります。悪口を言い合ったり、順番を取り合ったり、でも帰るときは「バイバイ」の一言で、また元気で会えること、仲良く遊べることを約束します。もし翌日、友だちが休みであれば、心配になり先生に尋ねたりもします。4才・5才は、まだまだ子どもです。しかし、その心には大切なものが、すでに沢山備わっています。「自分は一人ではない。喜び、悲しみを友達と共有している。そしてそれは周囲にも認められている。」バイバイの一言ですが、そこには自信、そして立派な社会の成立を感じました。「まったく、最近の若者(子ども)は!」・・・よく聞くフレーズですが、結構、逞しく、また誇らしく、成長していますよ。ではまた明日♪
賢く育てる
2022-02-27
現在、ロシアがウクライナに軍事侵攻しております。真実は解りませんがとても残念なことです。このような状況を踏まえ、あらためて教育とは何か?未来へ向けて子どもたちに伝えたい事とは何か?以下「賢く育てる」を再掲させて頂きます。・・・いつの時代も、我が子を賢く育てたいと願う親の気持ちは不変です。書店では「子どもを賢く育てる方法」等の書籍が、彩り豊かに本棚を賑やかしています。子どもを賢く育てたい、それも0才の時から、賢くなってほしいと願う親の目的はどこにあるのでしょうか?早くお喋りしてほしい、ひらがなを覚えてほしい、そして書けるようになってほしい。思いは様々、願いも様々、後から後から出てきます。小学校へ入学すると当然、子どもの成績が気になります。国語、算数、理科、社会、そして英語に道徳、記憶力、理解力、想像力、あれもこれも「賢くなぁれ」と心のなかで念じつつ、今日も宿題のお手伝いに精を出します。そして受験、進学、受験、進学。親の!?願いが叶い某有名大学入学試験に見事合格しました(涙涙)。「おめでとう!努力?実力?いやいや親のおかげでしょ!何はともあれ、うちの子、賢く育ちました。大学を卒業したら一流の会社に就職して、不自由のないGOOD LIFEを♪子育て完結、お疲れ様でした。老後をよろしく」これが賢くなってほしいと願われ、生まれた時から惜しみない援助で育てられてきた子どもたちの最終目的地なのでしょうか?いいえ!賢く育つとは、覚える力、成績をとる力が育ったことではありません。賢く育つとは、「平和」を知って育ったということです。人間はお互いに助け合う互助関係が必要不可欠です。一人の人間としてすぐ隣をみて下さい。みんな誰かに助けられています。私たちは決して一人では生きて行けない存在なのです。しかし人は争います。過去を振り返っても我々は大小様々な争いを繰り返して来ました。現在も資源の為、領土の為、そして信仰の為、各地で争いが頻繁に起こっています。人は一人では生きられない、でも憎しみ、妬み、争いが無くなることはありません。「賢く育てる」とは、争うという不合理な行為、その矛盾を説き、争いのない世界の実現に様々な形で、貢献できる志を子どもたちに芽生えさせるということです。安心できる生活、愛されていることへの自覚、認められ、信頼されることからの自信、これらを土台に、感謝できる心、謙虚な心、敬う心を育てていく。これが教育であり、子どもたちを本当の最終目的地へ導く、大人の使命なのです。子どもの成績が欲しい!GOOD LIFEをさせてあげたい!親として至極当然の願いです。しかしそれらは過程です。賢さのゴールは平和にあります。子どもたちは無限の可能性を持っています。生まれた時から、あれもこれも「賢くなぁれ」と念じると共に、平和、幸せを祈れば、賢く、そして平和、幸せを知る子どもが育ちます。家庭は世界の縮図です。家族の平和、子どもの幸せは、必ず世界の平和、人々の幸せに繋がっていきます。戦争のない世界の実現は、我々の家庭から始まっていくのです。是非、子どもたちを「賢く」育てて頂きたいと思います。未来のために、平和のために。PEACE
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2022-02-09
乳幼児期の子どもたちはスポンジのように、様々なものをよく吸収すると云われます。「末は博士か大臣か」最近では聴かなくなりましたが、一昔前、子どもの秀でた発達力を褒め、からかう言葉もありました。確かに子どもたちは、生まれた直後から周囲の環境にある様々なものを吸収して成長します。それはまさしく乾いたスポンジがあっという間に接触した水分を吸い取るかの如くです。しかし、それも大概は一時のこと、年齢を重ねるにつれ、急激な発達力も記憶力も陰を潜め、大人たちの思い出の一つとなります。でもこれ見方を変えると、環境のほうが枯渇して吸収できるものが周囲から無くなってしまったのかもしれません。人間には知りたいという欲求があります。学ぶという姿勢も常に秘めているものです。私も自問します。子どもたちの吸収力を維持、継続させるには?枯渇しない環境とは?・・難↓大人も努力が要りそうです。一方親子間には枯れず湧き続けるものも存在します。それは愛情です。親が子を思う愛、子が親に寄せる愛、これらは通常の環境であれば枯れることはまずありません。特に乳幼児期の子どもたちは無限に愛情を求めていますので、しっかりと応えてあげてください。親から受ける愛に多過ぎることはありません。しっかり身体を、そして心を抱きしめてあげてください。しかし「自分で出来ることは自分でする」は重要なポイントとして忘れないでください。子どもたちに必要なものは愛であり、甘やかし、過干渉ではありません。乳幼児期の子どもたちは、繊細で柔らかく、弾力もあり、吸収力も抜群ですが、決して単純な構造はしていません。その発達を例えるならスポンジではなく「無限に広がり続ける宇宙」です。未知に溢れ、冒険、奇天烈、苦悩がある。併せて発見、達成、感動が進化を促し、魂を強化する。子どもたちは、計り知れない可能性を持ち、夢を現実へと導く、未来への希望なのです。