園長のひとりごと

科学の進歩&子育ての退化
2026-04-17
 今、世界はどんどん便利になっています。仕事も家庭も多くがコンピューター(AI)によって助けられています。これは教育、子育ての現場においても例外ではありません。スマホ・タブレットの学習、辞書、ゲーム、いつでもどこでもの世界が現実になりました。僅か数十年前、人間の生活には多くの動きが必要でした。電気機器も少なく、ましてやリモコン一つ、声一言で、あらゆる操作が出来る現代とは程遠いものでした。子育てに於いても、幼児教育と云われるものは今日のように確立されてはおらず、自然の中、家庭の中での生活が、そのまま教育になっていました。外では季節、気候、生命を感じ、家では家事手伝いの日常生活から、細やかな身体動作を学び、忍耐力、集中力も身に付けました。そしてそのなかにある人間関係から対人能力も育ちました。それが今では、脳科学と幼児教育が関連付けられ、その理論を知り学ぶことで、大人の心からは遊びが無くなり、焦りが生まれています。「この時期に、これが出来れば、こうすれば」個人の発達段階に合わせてとはいうものの、子どもを見る目に余裕もなければ隙もなく、結果的に子育て迷路に迷い込み、何が最善なのか暗中模索の苦悩が生まれています。多少の良き結果が出ても、親子共そこに感動、喜び、新鮮味は僅か、すぐに次を求め彷徨います。大人は、このような両者不完全燃焼という結末を未来に招かぬよう、生活、学びにゆとりと隙を作り、不便の中から光を見つけ、自ら伸びる環境とは何かを今一度見直す時期ではないでしょうか。本当に大切な幼児教育は昔から変わることなく、日常生活のなかに多く存在していることに改めて目を向けて頂きたいと強く感じます。
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秩序
2026-02-09
 お絵かき、はさみ切り、シール貼り、保育園で子どもたちは様々な作品を作っています。上手・下手は別として、成長の証として次々に個性的な作品が仕上がります。これらの作品を時系列で見ていくと、単体では見えにくい発達過程が一目瞭然で見えてきます。特におすすめの一品はシール貼りです。シール貼りは、当初意図する場所に貼れない状態からスタートします。それが数ヶ月の時を経て徐々に貼りたい場所に収まり、その後、模様や絵があるシールに関しては上下左右も揃っていきます。そして、最終的には貼りたい場所にビシっと綺麗に整います。満足満足。この作業をひとつ見ても、子どもたちのなかには、しっかりとした秩序が存在し、成長していることが解ります。秩序とは「物事を行う場合の正しい順序・筋道。その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順序やきまり。」といった感じなのですが、この説明は美「形、色彩が整ってきれいであること。うつくしいこと。また、そのさま。」にも繋がります。「秩序と美」う~ん・・確かに共通性は感じるけど、どう役立てれば?と首を傾げそうな話しですが、環境構成を難しく考える必要はありません。綺麗なものを見て「綺麗だね」と言えるような子育て環境を整えて頂くだけでも良いのです。子どもを抱きかかえ、同じ目線で「綺麗だね」と感動を共有してください。幾何学模様のように対称の美しさもあれば、風景のような自然美もありますのでそこに細かな解説は要りません。「綺麗だね」の一言で親子の感動はシンクロし、子どものなかに美への関心が生まれます。それは自然と秩序に繋がり・・good jobです。生活のなかに「片付けて~!」だけではなく「うぁ綺麗~!」も沢山取り入れて頂き、「秩序と美」それぞれの発達にお役立て下さい。
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レールを敷く
2025-11-10
 皆様、今、目の前にレールは見えていますか?昔からよく「子どもの人生にレールを敷く」という表現があまり好ましくない意味合いで使われますが、皆様の子育てに於ける現状はどうなっておられますか?またレールを敷くとは一般的に、子どもの学業(進路)に対してよく用いられる表現のように感じますが、乳幼児期にも人生のレールを敷くというような試みは必要だと感じられますか?・・私は必須だと感じます。就学前の環境は人格形成に多大な影響を及ぼすことは幾度となくお伝えしておりますが、健全な人格へと向かう為にしっかりとしたレールが、それも学業用に敷くレールとは異なるレールがこの時期には必要だと感じます。子どもの成長を羅針盤に見立て、その中心に親が立つ。そして自らの経験、願望から主観的にまっすぐ伸びる線を引く。それが親の敷くレールです。しかし乳幼児期の今、立っている羅針盤は学業(進路)用ではなく、人格形成用の羅針盤です。そして敷かれたレールの出発地、目的地は共に「愛」という尊いものです。愛されて生まれ、愛してくれる人がいる。そのことを知らせるレールが、親が子どものために敷く最初のレールなのです。その後も喜怒哀楽に代表されるような様々な感情、そして道徳、ルール等、子どもの人格形成の為に前方180度の半径は親の敷くレールで埋められていきます。しかし親が敷けるレールはここまでです。中心から後方180度の半径はもう親の目には届きません。そこは親から自立した子どもが主体性を持って自らの力でレールを敷かなければならない領域なのです。どのようなレールで後方半径が埋められていくのか、とても気になるところですが、親として「愛」という中心からスタートさせた様々なレールが、今も子どもの心で育まれていることを信じるしかありません。人格形成のため、前半のレールを親が子に示すことはとても重要な教育です。親が前半のレール敷きに力を振るわず、曖昧な物にしてしまうと子どもたちの進路は不安定なものとなり、その迷走も想像に難くありません。人格形成のレール、特に乳幼児期に敷く前半のレールは、子どもたち(後半のレール)のために自信をもって頑丈なものをまっすぐに敷いて頂きたいと思います。それが生涯の道標となり、途中で曲がっても、時には大きく捻れても、最後には幸せなゴールへと向かう「子ども自らのレール敷き」に必ずや貢献してくれることでしょう。
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バランス
2025-09-05
 世の中は表裏一体、様々な事柄に絶妙なバランスを取り成り立っています。これは子どもへの関わり方も同様です。お父さんが怒れば、お母さんは受け止める、またその逆もあり、これでバランスが成立します。両者が同じように怒ってはいけません。人間の脳は「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という本能をもっています。怒られた子どもも、反省する反面、自分にも少しは共感してほしいという思いを秘めています。余程の状況で無い限り、この「仲間になりたい(認めてほしい)」という本能も受け止めてあげなければなりません。八方塞がりで受け止めてもらえる場所がなければ正しい物事を学ぶ前に子どものなかには、孤独と混乱が生まれます。ご家庭での喜怒哀楽、みんなの思いが揃うのは喜・哀・楽とし、怒では誰かが冷静を保てるよう心掛けたいものです。しかし前もっての役割分担は難しいと思われますので、その時々でのご対応をお願い致します。「家族生活のなかにもバランスを考え、整える」言うは易し、行うは難しですが、これは価値ある努力、そして実りある真実であると強く感じます。
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昭和100年広島の夏
2025-08-01
 「暑いね~」「暑いですね~」「ほんと~」という言葉で始まる会話もマンネリ化し、そろそろ気の利いた会話のスタートはないかな?と頭を悩ます今日この頃です。子どもたちはシャワーとプール活動を楽しみながら、現在進行形、暑い夏を過ごしています。そしてシャワー、プールといえば、顔に水が掛かることが苦手な子どもたちから、少しでも苦手意識を取り払うことを目的とした大切な活動でもあります。夏の終わり、子どもたちに小さな成長が見られることを楽しみに、今日も手酌で子どもたちの顔に水を散らします。話を少し真面目に、今年は昭和100年、そして戦後80年という言葉をよく耳にします。また広島の夏は人類史上初めて核兵器が使用され、甚大な被害を受けた過去を持ち、非戦への誓いを強く心に覚える季節でもあります。しかし、時は過ぎ戦後80年、当時の記憶は確実に薄れ、その悲惨さを伝えてこられた方々も90歳を超える御高齢となられました。つい先日も中東で戦争とも呼べる争いが勃発し、多くの人たちが犠牲となりました。核開発、資源問題等、強行に踏み切る理由はそれぞれに有るのでしょうが、結果として得るものは犠牲として失われる命に対して無価値なものです。令和7年現在、日本では80年間という歴史的に見ても長い期間、国内はもちろん、他国との戦争にも直接的には関わっていません。この状態を「平和ボケ」という言葉で揶揄(やゆ)する論もありますが、それで大切な命が守られるのなら、家族、子どもたちの命が戦争の犠牲とならないのであれば、ボケるのも有りではないでしょうか。「ボケた」と言われることに抵抗を感じ、武装して強行に及ぼうとするような風潮はとても愚かで危険なことです。保育園生活に於いても「腹が立って手を上げる」より「我慢して対話で解決する」ことを子どもたちには説いています。それは手を上げるという行為を恐れているだけかもしれません。しかしこれを「平和ボケ」と子どもたちには決して説きません。逆にその行動を勇気あることと肯定し称えます。恒久的な平和を願うこと、又それを実現しようと努力している現在をボケていると子どもたちに説いて、苦しみ、悲しむのは、それを説かれて育った子どもたち自身です。2025年暑い夏、平和にボケつつ、しかし非戦への志は強く持つことを子どもたちに示して頂きながら、海、山、プール、楽しく且つ安全に過ごして頂きたいと思います。「しかし暑いですねー」おっと!結局(^_^;)   (2025年7月の園だよりから)
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