園長のひとりごと
おままごと
2025-05-22
「おままごと」これは男女、国籍、人種を問わない子どもたちの代表的な遊びの一つです。保育園生活に於きましても2才を待たずして、園庭の木の葉をお皿に、草や花を箸や食べ物に見立てて「はい、どうぞ」「ありがとう、モグモグモグ」と、子どもたちはおままごとが大好きです。最初は保育士が若干の手解きをしますが、その後は自分たちで発展させて、様々なバージョンのおままごとに変化していきます。そして気が付けば、誰に教わったわけでもなく配役を決め、家族構成も整えられてのリアルおままごとが展開されています。そこには家族の他にペットの犬や猫まで登場し、四つん這いになって「ワンワン」「ニャンニャン」鳴いたりもします。しかし重要、且つ人気な役柄はご想像の通り、お母さんと子ども、又は赤ちゃんのようです。「おしっこが出てますよ~。パンツを替えましょう」「バブバブ」「お出掛けしますよ~」「バブバブ」3・4・5才の子どもたちが繰り広げる不思議な寸劇?ですが、少し見方を変えると子どもたちの深層心理が表れているのではないでしょうか。社会的に3・4・5才はまだまだ子どもです。しかし0才児さんから在園する保育園のなかでは、少しお兄ちゃんお姉ちゃんです。近くに年下のお友達がいればお世話をしようという気持ちが自然と生まれます。しかし、まだまだ子どもです。つい数年前までは紙パンツ、「バブバブ」甘えて、お母さんはいつも側に居てくれました。しかし最近は怒られることもしばしば・・・あの頃に戻りたい。これも自然な欲求です。3・4・5才とはそういう時期ではないでしょうか。子どもたちはとても繊細かつデリケートです。憧れと欲求の狭間を行ったり来たり漂いながら少しずつ心も体も成長していきます。成長とは決してまっすぐ直線の右上がりではありません。「上がったと思ったら、すぐに下がるは当たり前、でも次に上がった頂点は前回よりも少し上」それでいいのだと思います。「ワンワン」「ニャンニャン」「バブバブ」ちょっと怪しい姿ですが、子どもたちは確実に成長の階段を登っているのです。




子どもの時
2025-04-01
時の流れを発達という観点からみると、我々大人はあまり変化のない1年間を過ごします。しかし子どもの1週間、1ヶ月、1年間は目まぐるしい発達、成長の日々です。さらに大人と子ども、同じ空間で生活はしていますが、時に対する感覚、使い方も大きく異なります。大人がある事柄に10分間取り組めることに対して、子どもは10分間あれば、大人の数倍の事に興味が飛び、そして動きます。無論一つの事に対して、集中して取り組む姿も発達過程では見られますが、子どもたちは、まずこの世界を大きな視点から見て、極めて浅く、そして広く知ろうとしています。その後、身心の成長に伴い、ある事柄に理解を深めようとした時、努力と継続が始まるのです。最初から一つ一つに理解を深め、力を注ごうなど考えてはいません。子どもの「時」は大人とはまったく異なるため、行動も言動も違って当然ということを知って頂き、心身共にゆとりを持った子育てを楽しんで下さい。
作品展に想う
2025-02-17
園だよりは毎月月末にお配りしておりますが、今月は少し早めの発行をさせて頂きました。それは今月22日からの作品展のことを皆様にご覧頂く前に少し紹介させて頂こうかなと思っての事です。この作品展は今年で第40回を迎えます。当時の事は、ほぼ知らされておりませんがモンテッソーリ教育を導入して以来、日々子どもたちが「お仕事」(お仕事とは、子どもたちが自らの心身の形成のために生き生きと活動する姿を言います)に取り組む姿、またそれらを具現化した日常の作品を保護者の皆様にご覧頂きたいとの思いからスタートしたのだろうと推察します。そして40年、作品数も格段に増え、展示方法も工夫を重ね、かなりの進化を遂げた今現在です。しかし40年間変わらないものもあります。それはご想像の通り、子どもたちの発達過程です。この発達過程には「今は昔は、この先は・・」等はありません。何も出来ない状態で生まれ、首が座り、ハイハイをして、まもなく一人歩きが出来るようになり、就学前には指や手が自分の意思通りに動かせるようになる。これらの発達過程は今から100年さかのぼっても、また100年未来を想像しても同様です。これから世界はAIに包まれていくことがほぼ確実となっていますが、生後間もない赤ちゃんには、一切関係のないことです。それぞれの進化した時代にリンクしていくのは、おおよそ就学後のことで、それまでは原始的な環境(触る、押す、引く、つまむ、まわす等)での生活を積み重ねることで、人間としての地盤を固めるのです。そして作品展とはその原始的な環境、またそのなかにある発達、進化を見て、感じられる1年間の集大成です。しかし展示してある作品はまだ完成してはおりません。この作品を最後に仕上げるのは皆様です。保護者の皆様が子どもたちの頑張りを認め、称え、喜ぶ姿が子どもたちに届くことで展示してあります作品たちは無事完成を迎えるのです。いつの時代においても子どもが頑張る姿(何事においても)とそれを称える保護者の笑顔、この1セットの存在が親子共に幸せで充実した子育て環境を構築させるということは決して忘れないでください。作品展をお楽しみに。(2025年2月園だよりから)
発達の連鎖
2025-02-04
子どもたちの未来へと続く興味と好奇心の鎖を切ってはいけません。発達の連鎖を止めてはなりません。人間はそれぞれの年齢、発達段階において興味、好奇心の対象が大きく異なります。それは乳幼児期に於いても同様です。子どもたちは生まれた時から、発達過程に沿った興味、好奇心を持ち、そして体験しながら成長していきます。決してある年齢において突然の興味、好奇心が生まれて急成長するのではありません。幼き日の「見る・聞く・動く・触る・感じる」が成長とともに形を変えて未来まで繋がっていくのです。これが本来あるべき、発達、進化の道筋です。我々大人の役割は、この連鎖にブレーキをかけないように配慮し、その時々に必要な環境を整えることです。これはあくまで環境を整えるという助力であり、決して子どもたちを未熟な存在として、何事に於いても教授することではありません。またそれらを試みても大きな成果はありません。なぜなら就学前の6年間は想像を超える数の発達が、目を見張る速度で展開される人知を越えた期間だからです。結論「この発達に対応できるのは発達している当事者だけであり、リアルタイムでその発達に必要なものを示してもらう。大人は、その選択、行動を見極めた上で、意志を尊重し、動くことを保障し、環境を整える」この環境構築こそが発達の連鎖を強く保持し、未来へと続く無限の可能性を生み出すのです。今しかできない感動を今子どもたちから敏感に感じ取り、柔軟な思考で柔軟な環境を子どもたちにご用意頂ければこれに勝る幸いはありません。
甘やかす
2024-12-02
令和の世、一人っ子世帯の割合が急増しているようです。一人っ子と云えば私が子どもの頃、昭和の世では35人クラスに1~2人くらい?で、今風に云えばレアな存在だったというのが記憶の片隅に残っています。又、一人っ子=「親に甘やかされて育つ」というイメージを常に背負っていたようにも思います。ご想像の通り私も一人っ子です。周囲からのレッテルほどは甘やかされていなかったと、幼少期を振り返りますが、基本的に全ての親は表の顔とは裏腹に、我が子には甘いものだと職業柄実感しております。でもそれは決して悪いことではないということも、お伝えしたい今日この頃です。「目の中に入れても痛くない」と云うことわざがあるように、子どもや孫は愛おしいものです。しっかりと愛情をもって甘やかして育てて下さい。しかしその中に甘やかしてはいけないことがあることも理解して甘やかして下さい。甘やかしてはいけないことまで、甘やかしてしまうと子どもの心に芯が育ちません。抽象的な表現になりますが、芯が育っていないと何だかフニャフニャな空気が子どもを覆います。乳児期のそれは時に可愛らしくも見えますが、幼児期から学生、そして社会人へと成長するにつれてのそれは本人を苦しめる要因になることもあります。しっかりと甘やかすなか、決して甘やかしてはいけないことは何かを御一考頂き、それを踏まえた後は今以上に甘やかして頂きたいと思います。あま~~~い(^O^)