園長のひとりごと

子どもの時
2025-04-01
 時の流れを発達という観点からみると、我々大人はあまり変化のない1年間を過ごします。しかし子どもの1週間、1ヶ月、1年間は目まぐるしい発達、成長の日々です。さらに大人と子ども、同じ空間で生活はしていますが、時に対する感覚、使い方も大きく異なります。大人がある事柄に10分間取り組めることに対して、子どもは10分間あれば、大人の数倍の事に興味が飛び、そして動きます。無論一つの事に対して、集中して取り組む姿も発達過程では見られますが、子どもたちは、まずこの世界を大きな視点から見て、極めて浅く、そして広く知ろうとしています。その後、身心の成長に伴い、ある事柄に理解を深めようとした時、努力と継続が始まるのです。最初から一つ一つに理解を深め、力を注ごうなど考えてはいません。子どもの「時」は大人とはまったく異なるため、行動も言動も違って当然ということを知って頂き、心身共にゆとりを持った子育てを楽しんで下さい。
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作品展に想う
2025-02-17
 園だよりは毎月月末にお配りしておりますが、今月は少し早めの発行をさせて頂きました。それは今月22日からの作品展のことを皆様にご覧頂く前に少し紹介させて頂こうかなと思っての事です。この作品展は今年で第40回を迎えます。当時の事は、ほぼ知らされておりませんがモンテッソーリ教育を導入して以来、日々子どもたちが「お仕事」(お仕事とは、子どもたちが自らの心身の形成のために生き生きと活動する姿を言います)に取り組む姿、またそれらを具現化した日常の作品を保護者の皆様にご覧頂きたいとの思いからスタートしたのだろうと推察します。そして40年、作品数も格段に増え、展示方法も工夫を重ね、かなりの進化を遂げた今現在です。しかし40年間変わらないものもあります。それはご想像の通り、子どもたちの発達過程です。この発達過程には「今は昔は、この先は・・」等はありません。何も出来ない状態で生まれ、首が座り、ハイハイをして、まもなく一人歩きが出来るようになり、就学前には指や手が自分の意思通りに動かせるようになる。これらの発達過程は今から100年さかのぼっても、また100年未来を想像しても同様です。これから世界はAIに包まれていくことがほぼ確実となっていますが、生後間もない赤ちゃんには、一切関係のないことです。それぞれの進化した時代にリンクしていくのは、おおよそ就学後のことで、それまでは原始的な環境(触る、押す、引く、つまむ、まわす等)での生活を積み重ねることで、人間としての地盤を固めるのです。そして作品展とはその原始的な環境、またそのなかにある発達、進化を見て、感じられる1年間の集大成です。しかし展示してある作品はまだ完成してはおりません。この作品を最後に仕上げるのは皆様です。保護者の皆様が子どもたちの頑張りを認め、称え、喜ぶ姿が子どもたちに届くことで展示してあります作品たちは無事完成を迎えるのです。いつの時代においても子どもが頑張る姿(何事においても)とそれを称える保護者の笑顔、この1セットの存在が親子共に幸せで充実した子育て環境を構築させるということは決して忘れないでください。作品展をお楽しみに。(2025年2月園だよりから)
 
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発達の連鎖
2025-02-04
子どもたちの未来へと続く興味と好奇心の鎖を切ってはいけません。発達の連鎖を止めてはなりません。人間はそれぞれの年齢、発達段階において興味、好奇心の対象が大きく異なります。それは乳幼児期に於いても同様です。子どもたちは生まれた時から、発達過程に沿った興味、好奇心を持ち、そして体験しながら成長していきます。決してある年齢において突然の興味、好奇心が生まれて急成長するのではありません。幼き日の「見る・聞く・動く・触る・感じる」が成長とともに形を変えて未来まで繋がっていくのです。これが本来あるべき、発達、進化の道筋です。我々大人の役割は、この連鎖にブレーキをかけないように配慮し、その時々に必要な環境を整えることです。これはあくまで環境を整えるという助力であり、決して子どもたちを未熟な存在として、何事に於いても教授することではありません。またそれらを試みても大きな成果はありません。なぜなら就学前の6年間は想像を超える数の発達が、目を見張る速度で展開される人知を越えた期間だからです。結論「この発達に対応できるのは発達している当事者だけであり、リアルタイムでその発達に必要なものを示してもらう。大人は、その選択、行動を見極めた上で、意志を尊重し、動くことを保障し、環境を整える」この環境構築こそが発達の連鎖を強く保持し、未来へと続く無限の可能性を生み出すのです。今しかできない感動を今子どもたちから敏感に感じ取り、柔軟な思考で柔軟な環境を子どもたちにご用意頂ければこれに勝る幸いはありません。
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甘やかす
2024-12-02
 令和の世、一人っ子世帯の割合が急増しているようです。一人っ子と云えば私が子どもの頃、昭和の世では35人クラスに1~2人くらい?で、今風に云えばレアな存在だったというのが記憶の片隅に残っています。又、一人っ子=「親に甘やかされて育つ」というイメージを常に背負っていたようにも思います。ご想像の通り私も一人っ子です。周囲からのレッテルほどは甘やかされていなかったと、幼少期を振り返りますが、基本的に全ての親は表の顔とは裏腹に、我が子には甘いものだと職業柄実感しております。でもそれは決して悪いことではないということも、お伝えしたい今日この頃です。「目の中に入れても痛くない」と云うことわざがあるように、子どもや孫は愛おしいものです。しっかりと愛情をもって甘やかして育てて下さい。しかしその中に甘やかしてはいけないことがあることも理解して甘やかして下さい。甘やかしてはいけないことまで、甘やかしてしまうと子どもの心に芯が育ちません。抽象的な表現になりますが、芯が育っていないと何だかフニャフニャな空気が子どもを覆います。乳児期のそれは時に可愛らしくも見えますが、幼児期から学生、そして社会人へと成長するにつれてのそれは本人を苦しめる要因になることもあります。しっかりと甘やかすなか、決して甘やかしてはいけないことは何かを御一考頂き、それを踏まえた後は今以上に甘やかして頂きたいと思います。あま~~~い(^O^)
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受け継ぐ姿
2024-10-11
 「お母さんによく似てるね~!お父さんにそっくりだね~!」親子が頻繁に耳にするフレーズです。子どもの容姿が親に似ているのは遺伝子的に当然なのですが、話し方、気性、テンポまでもが幼き頃から日に日に親に似ていきます。子どもは親を模倣しながら成長しますのでそれも納得です。しかし就学前の子どもが意識的に真似れる領域を超えて親子は似ていきます。なぜ?・・・その最たる理由は「子どもたちの脳には、保護者の方のあらゆるデータがしっかりとインプットされ、一人の人格として確立され、存在している」からではないでしょうか。ではその証明となるもの、それは・・・夜にみる「夢」です。子どもたちはしっかりと夢を見ます。当然です。その夢の中でも子どもたちはしっかりと保護者の方と関わり、会話を楽しんでいます・・・?しかも内容は覚醒時(日中)のリピートではなく、フレッシュでオリジナル、まったく新しいものです・・・?!そうなんです。子どもたちは、脳という超高性能コンピューターで、場所、人、会話を合成処理し、オリジナルなコミュニケーションを夜な夜な作り上げているのです。これは驚異的な能力です。そしてこの能力は覚醒時に関わる頻度、質に比例して、精密、精細にその人物像を夢に反映できるという特徴も有しています。子どもたちの潜在意識には、保護者の皆様が、一人の人格としてしっかり存在し、夢のなかで自由に活動している(させられている)のです。夢とは、初めから終わりまで、個人が作り上げるフィクションです。しかし、そのなかの登場人物は細部に至るまで現実そのもので、お母さんが登場すれば、お母さんが話しそうな内容をお母さんの口調とテンポ、しぐさでそのフィクションは構成されます。お母さんの姿で、話し方、しぐさはお父さんというようないい加減な作りではありません。日常生活で得たあらゆる情報を自分なりに処理し、夢のなかでも保護者の方と新鮮な関わりをする・・親としてそれはスルーしてほしい姿かもしれません、また正確な処理ではないかもしれません。しかしこれが「親から子への魂の伝達」、良くも悪くも親子が似てくる理由だと思います。もう少し想像を膨らませると、夢のなかに人気タレント、又は芸能人が現れ、会話し「この人はこんな話し方するんだ・・?」と思っていたら目が覚める、という経験も大人になるまでには一度はあると思われます。これは登場人物の人格が推測の域を超えておらず、「何か変だな~?」と脳が混乱し目覚めるのではないでしょうか。話を子どもに戻しますと、今晩、子どもたちの夢にyoutubeの動画や何か怖~いもの、またゲームやそのキャラクターが出てくるのであれば、今日はそういう日だったのです。しかし、その夢は、像と人格が一致しておらず、情報量も少なく、一方的な関わりから構成されているので、上記タレントの夢と同様です。たまにみるこのような夢は楽しいものですが、これが日常的に長期間継続されるようであれば子どもたちの脳は、現実に関わりを持ったリアルとは異なる虚像に侵食され、親から受け継ぐはずの姿、魂の成長、人格形成は迷走をはじめます。昨晩、あなたの子どもはどんな夢を見たのでしょう。きっと子どもたちは夢の中でも、あなたと出会えることを楽しみに♪今晩も安心のなか眠りにつくことでしょう。子どもはあなたに似てますか?それとも・・・。
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